すべての愛を君だけに。
俺の言葉で抵抗しようと力を入れていた手に、スっと力が抜けたのがわかる。
…何言ってんだ。
自分の口から出た雨に向けた想いが信じられない。
雨に好きだって伝えられて、気付かされた想いに頭が侵食されておかしくなってる。
これじゃまるで
天ヶ瀬に対して嫉妬してるみたいだ。
「…何それ…っ」
「…雨」
「歩ちゃん、ずるいよっ!」
そう言って涙が溢れる。
また、泣かせてしまった。
掴んでいた手から熱が離れていく。
勢いよく閉められたドアは大きな音をたてる。
雨の姿は降り続く雨で見えにくく、そして玄関へと消えていった。
全身の力が抜け運転席にもたれかかる。
はー…と大きく息を吐き、両手で顔を覆う。
目を閉じても泣いている雨の顔はいつまでも居なくなってくれなかった。