すべての愛を君だけに。
じゃあわたし、ここに居ちゃいけないんじゃ…。
でもすごく似合ってるんだから恥ずかしがることないのに。
そんなことを思っていると。
「那奈、余計な事言うな」
お冷を持って慶くんがテーブルまでやってきた。
近くで見るとふわふわの黒髪とスーツがほんとによく似合ってる。
それに周りのお客さんから「あの人かっこいい…」、「ほんとだー、注文あの人にお願いしちゃお!」なんて会話が聞こえてくる。
「恥ずかしがることないよ。ね、雨?」
「うん、すっごく似合ってるよ」
「…ありがと」
「照れてる」
「うるせー」
わたしの言葉に顔を逸らしながら言った慶くんになーちゃんがからかうように言う。