すべての愛を君だけに。

冷たい空気が一気に部屋に流れ込む。


吐く息は白くて、モコモコのパジャマを着ていても風邪を引いてしまいそうなくらい寒い。


だけどそんなのどうでもいい。






「『せいかーい』」






車の外に人の影。


歩ちゃんの声がスマホで塞がれていない方の耳と、少し遅れてスマホ越しに聞こえた。


窓からわたしの姿が見えたのか手を振っている。






「歩ちゃんっ」






わたしは急いで部屋を出て、階段を駆け下りる。


途中で足を踏み外しそうになったのは内緒。


玄関に置いてあったクロックスに足を入れて、玄関の鍵を開けて勢いよく玄関ノブを押す。


部屋から玄関までしか走ってないのに息が上がる。


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