すべての愛を君だけに。
「ひゃっ!?」
『え、なに、大丈夫?』
腰の辺りに回された手は後ろからまた歩ちゃんに抱き締められていることが分かった。
電話が終わるのを待っててくれてるものだと思ってたからびっくりして変な声が出てしまった。
スマホを当ててる耳とは反対側の耳に近づけられる唇。
さっきキスしそうになったこともあり、変に意識してしまって体が固まる。
「ちょっと…今電話中だから!」
「しー…、静かに」
お母さんに聞こえないように小声で言うわたしに、耳元で囁くように言う歩ちゃんの声に肩が上がってしまう。
電話に集中出来るわけない…。