すべての愛を君だけに。
不穏な態度 -歩 side-
温かい車の中、助手席に雨を乗せて家まで送っている年の瀬の夜中。
会話は無く、信号が赤になる度そっと左手を雨の手に重ねている。
楽しい時間だけ早く過ぎていく。
まだ一緒に居たいけど、一応教師で保護者(仮)だから送ることにした。
日付は20分前もに越えてしまっている。
もうすぐ雨の家に着く。
雨は眠たかったのか、泣き疲れてしまったのか、窓に頭を預け小さく寝息を立てている。
せっかく寝てるから少しだけ遠回りして家に到着。
エンジンを切って雨の手を握り、一時期より健康的に見える頬に手を添え撫でる。
さらさらでふわふわで愛おしい。