すべての愛を君だけに。
余計帰さなければという思いになる。
…あー、可愛い。
一瞬顔を逸らし深呼吸をして…教師のスイッチを押す。
「ほら、早く帰るぞー」
「えーーー!」
運転席を降りて助手席側へ回りドアを開ける。
渋々降りてくる雨の頭にポンっと手を置く。
照れたようににひひと笑うのを見ると、こっちまで笑顔になる。
「温かくして寝ろよ」
「はーい」
「おやすみ」
「おやすみなさいっ」
玄関が閉まる前に振り返って満面の笑みで手を振る雨に、手を上げるだけで返す。
少しの間、雨が入っていった玄関を眺め、車に乗り込んだ。