すべての愛を君だけに。
「どーぞっ」
「お邪魔します」
その日の夜、雨の家に学校から直でやってきた。
インターホンを押すと、家の中からドンドンと走ってくる足音。
勢いよく空いた玄関ドアから笑顔で雨が迎えてくれた。
兄貴夫婦が居ないのに家に上がるのに抵抗はあるけど、俺の家はいつ沙織が来るか分からない。
ここが1番、いいかなという考えに至った。
「お腹すいた?」
「めっちゃすいてる、雨料理出来んの?」
「バカにしてる…?」
睨むように見られるけど、ごめんって思ってもないけど言いながら頭を撫でる。
まさか雨の料理を食べる日が来るなんて想像もしてなかった。