すべての愛を君だけに。

「もう少しでできるから座って待ってて!」と雨に言われて、リビングのソファーに座る。


テレビは人気のバラエティ番組が流れていたが、それには目もくれずキッチンの方を見た。






「あとは…」






ぶつぶつと呪文のように呟きながら手を動かしている姿はすごく微笑ましく、愛おしくも思えた。


「あー!」と叫んだかと思えば、何かを入れて味見して笑っている。


コロコロ変わる表情に見ていて飽きない。


キッチンから離れ、背の高い食器棚へと移動した雨は高い位置の皿を取ろうとしているようだけど。


…届かないらしく、背伸びをして一生懸命に手を伸ばすがやっぱり届かない。



< 261 / 393 >

この作品をシェア

pagetop