すべての愛を君だけに。

俺の言葉に動きが止まる雨。


これは…絶対なんかあったな。


雨の返事を待ちながら皿洗いを進めている俺に、作り笑顔をして焦ったように声を出した。






「やだなー、歩ちゃん見てたのー? ただお昼ご飯一緒に食べよって言われただけで」


「嘘つくの下手くそ」


「……っ」


「雨」






最後の洗い物を済ませて水を止める。


雨の手から布巾と皿を取上げて置き、手を引いてソファーに座らせる。


俯く雨の顔を無理矢理俺の方に向ける。


目いっぱいに涙を貯めているのを見て、なんで泣いてるのか分からない自分に腹が立った。


また泣いてる。


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