すべての愛を君だけに。
そう思って絡めた手を離す。
……離そうとしたのに。
「やだっ」
「…雨?」
「離さないで…」
ぎゅっと絡めた指に力を入れて離してくれない雨の姿を見て、俺の中でなにかが壊れていく音が聞こえた。
気づいたら雨を押し倒していた。
余裕が無いのは俺の方。
相手のことで頭いっぱいなのも俺の方。
ほんとに、可愛くて愛おしくて仕方がない。
「歩ちゃん…っ」
ワイシャツを掴んでいたはずの手を俺の頬に添える。
添えられた手はすごく熱くてそれがさらに愛おしくて、頬ずりする。
「眼鏡」
「眼鏡…?」
「邪魔だから外して」
そう言うとまた一段と顔が赤くなる。
少し戸惑いながらも頬から眼鏡に手をかけ外す。
元々そんなに目は悪くないけどやっぱり外すと少しぼやける。
雨の顔をよく見ようと顔を近づける。