すべての愛を君だけに。
嘘だ…。
沙織先生、わざと気づいててわたしたちには直接言わなかったんだ。
だから…わたしからお父さん達が帰ってくる話を聞いて今日言おうって…決めてたんだ。
絶対、わたし達を別れさせるために。
歩ちゃんと一緒にいるために。
沙織先生を見るとわたしの方をまっすぐ見て、目が合うと口角を上げて小さく笑った。
「沙織さんが謝ることなんて…っ!わたし達が謝るほうです!ほんとに…ほんとに申し訳ありません!」
「頭をあげてください…!わたしは平気ですから」
泣きながら頭を下げるお母さんに沙織先生は椅子から立ち上がって苦しそうに微笑みながら言った。