すべての愛を君だけに。

お父さんにもこんな風に叩かれたことなんてない。


普段は全然怒らないお母さんに、わたしはこんな顔をさせた上に叩かせてしまった。






「いい加減にしなさい…!!」






その悲しみと、驚きと自分への失望感でいっぱいで。
もう対抗する気なんてどこかへ行ってしまった。


手を引かれるまま部屋の扉の方に歩く。


沙織先生が扉を開けて出て行くのに続いてお母さんとわたしが部屋の外に出る。


一瞬だけ振り返って歩ちゃんを見た。


わたしの方はもう向いてくれていなかった。


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