すべての愛を君だけに。
そう言おうとしたのに…。
歩ちゃんに名前を叫ばれて言えなかった。
微笑んでた。
歩ちゃんはずっとわたしの方を見て微笑んでた。
何も言うな、そう言っているように。
なんで…っ。
言わせてよ、言わないと会えなくなっちゃうのに。
なんで笑ってるの…!
「雨、行きましょう」
「…いやだっ、ここに居る!歩ちゃんと…っ」
お母さんに腕を掴まれて部屋の外へと引かれる。
振りほどこうとすると頬に強い痛みが走った。
一瞬…何が起こったのか…わからなかった、けど。
目の前にいるお母さんが大粒の涙を流していること、手を振りあげているところを見て叩かれたんだってわかった。