すべての愛を君だけに。

ポツリと言った言葉は胸に重くのしかかる。


連れて帰る
その意味はすぐに理解した。






「もう1人で日本には置いておけない。向こうに連れていけばお前にも会わさずに済む」


「………」


「2度と雨には会わせない…!」






兄貴の泣き叫ぶように言った事は、今日1番言って欲しくない言葉だった。


そんなこと…耐えられるわけない。
雨に、もう会えないなんて。


死んだ方がマシだ。






「…最後に会いたい」


「無理だ、もう会わせない」


「会わせてくれ…っ!」


「ふざけるなっ!」






こんなこと言っていいはずがない。
頭ではわかっていても、行動せずにはいられなかった。


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