すべての愛を君だけに。
「雨から…全部聞きました」
「…そうか」
1歩1歩距離を詰めてくる湯川の顔は…少しずつ悲しみに歪んでいく。
すぐ目の前まで来たところで立ち止まる。
「望月先生」
「なんだ?」
「1発、殴ってもいいですか?」
「……は?」
優等生の湯川からは想像もできないようなことを言われて拍子抜けしてしまう。
でも本人は真剣な眼差しで俺を見つめている。
雨と仲が良くて、朝も昼休みも放課後残ってしていた勉強もずっと一緒にいた湯川。
大切な友達が突然学校を辞めて2度と帰ってこないと知り、それが俺のせいだって知ったら…。
そりゃ殴りたくもなるよな。