すべての愛を君だけに。
食事会から3週間ほど経った早朝。
職員駐車場に車を停め、運転席から降りて顔を上げると人が歩いてくるのが見えた。
目を細めて見る。
「望月先生」
「…湯川?」
俺の方に向かって湯川が歩いてきていた。
登校時間にはまだ早すぎる。
…俺を待ってた?
「まだ早いだろ、何して」
「雨、今日ですよ」
神妙な面持ちの湯川から思いもしない言葉が出てきてドクン、と心臓が跳ねる。
言葉足らずで聞く人が聞けばなんのことを言っているか分からないと思う。
だけど俺はすぐ意味がわかった。
そうか…。
今日、日本を発つのか。