すべての愛を君だけに。

「雨っ、どこに行くの」


「あ…あ、歩ちゃんが…っ、歩ちゃんが居るの!」






目を見開くお母さんを置いて行こうとするわたしの手を強く引き寄せる。


絶対行かせない。


お母さんの目がそう言っている。






「見間違えよ、来ていたとしても行かせられない」


「お願い…っ」


「…もうわたし達を悲しませないでちょうだい…今会えばまた同じことの繰り返しよ」






お父さんとお母さんをわたしはたくさん傷つけてしまった。
それは間違いない。


だけど。
今…ここで会わなかったら。


来ているとわかっていながらお母さんの言うことを聞いてしまったら…わたしは一生後悔する。


< 379 / 393 >

この作品をシェア

pagetop