すべての愛を君だけに。
自分の目を疑った。
会いたい、会いたい会いたいってずっと思っているから…きっと自分のいいように、きっとよく似た人がそう見えただけだって。
その人から目が離せない。
「雨…?」
一瞬だけ、その人が上を見た。
わたしだけが気付いた。
人混みの中へキョロキョロしながら走るその人は…間違いなく。
「あ、ゆみちゃん…っ」
考えるより先に足が動いた。
見つけてるのはわたしだけ。
歩ちゃんは私に気づかず1階を走っている。
1階へ続くエスカレーターの方へ走るわたしの手をお母さんが強く掴んだ。