すべての愛を君だけに。

睨まれたのも気にせず辺りを見回してみるけど歩ちゃんの姿を見つけられない。


2階行ったのかな…。


来た道を戻ろうと振り返る。




人混みの中ふと見た先。
…真っ直ぐ一直線上に人がいた。


わたし達の間を歩く人がスローモーションのように見える。


じっとみているわたし同様、その人もわたしのことを見つめていた。


肩を上下させていたその人が走り出した時、わたしもその人に向かって走り出す。


そんなに距離は無いはずなのに。
すごく長く長く感じだ。






「雨っ!」






また歩ちゃんの声で名前を呼んでもらえるなんて…。
そんな日が来るなんて思ってもなかった。


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