すべての愛を君だけに。
シャーペンの芯を直すためにノックして机にさす。
廊下の方から男子生徒の騒ぐ声が聞こえる。
わたしも早く帰ろ帰ろー。
「…あれ、比嘉さん?」
苗字を呼ばれて声が聞こえた方を見る。
廊下には5、6人の男子生徒…の中に天ヶ瀬くんの姿。
テスト期間中は部活はお休み
今から帰るところなのかな。
わたしは笑って天ヶ瀬くんに手を振った。
バイバイって意味で振ったんだけど…。
「先帰ってて」
「ファミレス行かないのかよー」
「パス」
友達にそう言って教室に入ってくる天ヶ瀬くんに少しびっくりしてしまった。
わたしの所まで机の間を通ってやってくる。
かっこいい顔が優しく微笑む。