すべての愛を君だけに。
天ヶ瀬くん以外のメンバーはもう廊下にはいなかった。
「何してんの?勉強?」
「うん、でも分かんないしもう帰ろうかなって」
「…俺も一緒にいい?」
「へ?」
「勉強、一緒に」
突然の言葉。
…1人でしてても進まないし、一緒にしてくれるのはありがたいけど。
「いいの?友達と帰るところだったんじゃ」
「いい、いつでも行けるし」
天ヶ瀬くんはわたしの前の机をクルッと180度回して、わたしの机とくっつけて座る。
カバンから英語の教科書とノートを2冊出して広げる。
黒いペンポーチから消しゴムとシャーペンを取りだして、カチカチっと芯を出す。