すべての愛を君だけに。

右手で持ったシャーペン。
左手で頬杖して視線は教科書の英文を追いかけている。


天ヶ瀬くんの顔半分が夕日に照らされる。
ふわふわの黒髪はキラキラ輝いて眩しい。


迷いなくサラサラ動くシャーペンの音が変に大きく聞こえる。


眉間にシワが寄ったかと思えば、ノートに英文を書いていく。


かっこいい人って何しててもかっこいいんだなあ…。


どうでもいいことを考えていると、視線だけこっちに向けた天ヶ瀬くんと目が合う。


何か…言うわけでもなく。
微笑んで見つめ返してくる天ヶ瀬くんになんだか恥ずかしくなって急いで視線を逸らす。


なおしていたシャーペンの芯を出して問題を考えるふり。






「なんの勉強?」


「…現代文してる」


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