すべての愛を君だけに。

夕日がだんだん沈んでいって、勉強もそこそこ進んできた。


わたしが背伸びをしていると。






「おーい、そろそろ帰れよー」


「歩ちゃんだ!」






聞きなれた大好きな人の声に胸がドキドキ高鳴る。


椅子から立ち上がって傍に行く。


煙草吸った後なのかな。
いつもより匂いがする。






「天ヶ瀬と勉強してたのか?」


「うん!教えてもらってたの」


「そうか」


「歩ちゃんは?もう帰るの?」


「まだ」


「えー!一緒に帰ろうと思ってたのに」


「いいから、早く帰れよ」






ぽんっとわたしの頭に手を置いて少し微笑む。
「天ヶ瀬も帰れよー」と、天ヶ瀬くんの方を向いて歩ちゃんは行ってしまった。


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