すべての愛を君だけに。

そう言って安心しきった顔をする天ヶ瀬くん。


助けてくれた…。
天ヶ瀬くんがキャッチしてくれなかったらきっと痛すぎて泣いてた。






「雨がよそ見してるから」


「ごめん」


「いや、パスのコントロールが悪かっただけ。当たんなくてよかった」






試合再開のために呼ばれた天ヶ瀬くんは、わたしを見つめて微笑んだ後コートに戻って行った。


試合をする天ヶ瀬くんは、軽やかに走っては敵をかわしてバスをしながらゴールへ近づく。






「慶っ!」






仲間の呼ぶ声に反応してボールを受け取り、ゴールのリングにボールを投げる。


綺麗な放物線を描いたボールは、吸い込まれるようにリングに入る。


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