すべての愛を君だけに。
どうして
「比嘉…?」
どうして
…泣いてるんだろう。
「雨?どうした?」
「…っ…」
「比嘉、どっか痛いところあるのか?」
近づいてくる歩ちゃんは、さっきまで繋いでいた沙織さんとの手を離してわたしの方へ伸ばす。
心配している顔
心配なのは、わたしが姪だから。
それ以上でもそれ以下でもなくて。
わたしはこんなに歩ちゃんでいっぱいなのに
歩ちゃんにとっては、姪でしかない。
「…か、帰る」
「え?」
「わたし、帰る、ね」
「雨?」
「ごめんっ…ごめんなさ…っ」