イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
彼女の話を出すという事は、前の腕時計は彼女にあげたと言うのだろうな。だから、私がこっちを付けないといけないという事か。
うん、アルバイトではあるけれど……彼女役を演じるという事に実感が湧いたような気がする。
「マジか……さすが警察官、って言ったところ?」
「かもね」
私ちゃんと出来るかな。同僚って言ってた人達だって警察官だし、バレる可能性は一般人より高いよね。
結構ドキドキだから、気を付けるところはちゃんと理解しないと。借金返済のために頑張らなきゃ。
次に湊さんと会うのは明日。同僚の人達に会う前に慣らさないとバレる可能性があるからとデートをすることになっている。デート、と言っても練習だ。最近付き合ったという事になっているけれど、互いの事をちゃんと知っていないと疑われる。
本当に徹底してるよね。さすが警視さん。
「よし、振り込んだよ」
自身のスマホを操作していた琳が、いきなりそう言い出した。
振り込んだ、というのは昨日のお見合い代行アルバイトのお給料の事だろうか。
「……早くない?」
「アンタが大変そうだったから今振り込んだのよ。早い方がいいでしょ」
「うん、持つべきは友だ」
「現金なやつね」
50万が振り込まれたなら、すぐに滞納してる家賃をまず払おう。あと今月の借金支払いも。今は節約第一にしているから、無駄な支払いはないようにしなきゃ。……と言っても、次のアルバイトは恋人役。多少の出資はあるかもしれない。
まぁ、交通費免除に食事付きだから何回かの食事代が浮く。だからその分をアルバイトに使えばいい。
けれど、困った事が一つ。