イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
3.優秀なアルバイト?
言わずもがな。アルバイト先である居酒屋に出勤すると他のスタッフ達に捕まった。
「瑠奈ちゃんっ!! 彼氏いるなら言ってくれてもいいじゃないっ!!」
「そうだよそうだよ! 水臭いなぁ!」
すみません、本物の彼氏じゃないんです。ただの雇い主とアルバイトなんです。
……と、言いたいところではあるけれど、それは契約違反なので口が裂けても言えない。
ほら仕事ですよ、と話を切り上げて逃げた。
ここの居酒屋は毎日忙しいからか、お給料がいい。もうそろそろでお給料日だから、気合いを入れて仕事をしないと。
「瑠奈ちゃん、彼氏がいるんだって?」
「佐々木先輩もですか」
「はは、僕も見ちゃったもんね。手、繋いでるところ。仲良しだね~」
もう、そのセリフは聞き飽きた。他にも手を繋いでいる場面を見たスタッフがいて、だいぶからかわれてしまった。仕事とはいえ、一応人目を見て手を繋いでほしい。
まぁ、私はしょせんアルバイトなんだけどさ。だからこちらからは何も言えない。仕方ない、で割り切ろう。
それより、また警察官さん達が来ないかが心配である。瑠奈ちゃんだ~って言われたら、何と答えればいいのか分からない。近くに湊さんがいないから助け船がないわけだし。
とりあえず、出くわしませんようにと祈っておこう。よし、給料日が待っている、頑張れ私。