幽霊姫は止まれない!
第六章 ここでサヨナラは確定事項
第七十五話 いらんことを言ったな、チクショウ
『相手を愛しているならそう言えばいいだろう』
エルフのその発言を聞いた時、まずいと思った。
『いりません! いりませんって! 俺はエヴァ様を好きなことくらい俺が一番わかっています!』
オスキャルのその思わず漏れた言葉を聞いた時、耳を塞ぎたいと思った。
『お前たち、両想いなのに』
私がずっと目を逸らしていた熱量を言い当てられた時、逃げ出したいと思った。
──から。
「ちょっと。一国の姫が娼館なんかに入り浸らないでよ」
「いいじゃない! お金払ってるでしょ!」
「アリガトウゴザイマァース」
ものすごく適当な接客を、彼女の言い方でいえば『一国の姫』が受けているのは、本当につい先日、王太子である兄の預言婚約騒動で何度も通った娼館〝夜闇の館〟である。
彼女の言う通り一国の姫が通うべき場所ではないが、今日も今日とて男装騎士・ヴァルとして来ているのだから、と唇を尖らせて抗議する私に預言の……いや、元預言の聖女が大きなため息を吐いた。
エルフのその発言を聞いた時、まずいと思った。
『いりません! いりませんって! 俺はエヴァ様を好きなことくらい俺が一番わかっています!』
オスキャルのその思わず漏れた言葉を聞いた時、耳を塞ぎたいと思った。
『お前たち、両想いなのに』
私がずっと目を逸らしていた熱量を言い当てられた時、逃げ出したいと思った。
──から。
「ちょっと。一国の姫が娼館なんかに入り浸らないでよ」
「いいじゃない! お金払ってるでしょ!」
「アリガトウゴザイマァース」
ものすごく適当な接客を、彼女の言い方でいえば『一国の姫』が受けているのは、本当につい先日、王太子である兄の預言婚約騒動で何度も通った娼館〝夜闇の館〟である。
彼女の言う通り一国の姫が通うべき場所ではないが、今日も今日とて男装騎士・ヴァルとして来ているのだから、と唇を尖らせて抗議する私に預言の……いや、元預言の聖女が大きなため息を吐いた。