幽霊姫は止まれない!
 相変わらず顔は怖いし眉もひそめたまま、ギロリと睨まれているけれど――

(これ、きっとこういう顔なんだわ)



 いや、もしかしたら緊張で顔が強張ってしまうタイプの人なのかもしれない。

 だって私が初めてだったように、こうやって体面し言葉を交わすのは叔父にとっても初めてだから。



 幽霊姫でも、一応の体面を守るため、王妃の実家として招待状を毎回送ってくれているのだと思っていたし、今までは社交辞令であると疑いもしなかった。

 けれど実際は、本当にただ私を心配し、いつか勇気を出した時に来れるようにと送ってくれていたのだろう。



(不器用過ぎないかしら)



 だが、私がずっと疎まれていると思い込んでいただけで、私の周りの人たちも、そしてノルベルト公爵も私のことを疎ましいとは一言も言っていないのだ。

 全て私が思い込んでいたこと。



 叔父が私のことを勘違いしながらも心配してくれていたように、私も叔父のことを自分を恨む怖い人だと勘違いしていたのかもしれない。



「あ、ではノルベルト公爵はさっきどうして会場から飛び出して行ったんですか?」

「そ……れは」
< 603 / 609 >

この作品をシェア

pagetop