幽霊姫は止まれない!

最終話 唯一という、運命を掴んで

「こうして前も飛んだわね」
 いつかした空中デート。あの時よりもずっとロマンチックなこの時間を慈しむように、邸内から漏れ聞こえる音楽に合わせて夜景を楽しんだ私たちは、屋根の上へと着地する。
 着地と行っても、もちろん私はオスキャルにしがみついているだけだが、ちゃんと衝撃を器用に吸収しながら着地してくれたらしく、屋根材にヒビひとつ入ることはなかった。

「エヴァ様、あの」
「うん? どうかした?」
 そっと私を屋根に下ろしたオスキャルが、話しづらそうに視線を彷徨わせながら私の名前を呼ぶ。

「ほ、本当に俺を好きになってくれるんですか?」
「……は?」
「おっ、おこがましいことを言いました! 俺に口説く時間をいただけるってことでいいですかっ」
「正々堂々と王子様の言葉をパクらないで!? あまりにも格好悪いわよ!?」
「うぅっ、だって」
 サイラスの言った言葉を真剣な表情で告げるオスキャルに思わず肩を落としてしまう。

(普通に、自分の言葉で言えばいいのに)
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