September〜世界で一番綺麗なもの〜
月に浮かんだ模様がくっきりと見える。日本では餅をついたウサギだが、世界ではカニやワニなど様々な見え方があるらしい。そんな雑学をふと未来は思い出した。

「長月さん。月が綺麗ですね」

悠二がその場に立ち止まって言った。真剣な顔で未来を見つめている。月が綺麗だという話はさっきしなかったっけと未来は一瞬思ったが、あることを思い出した。

悠二に恋をした日に、夏目漱石が好きな先生はこう話していた。今まで朧げだった記憶がその瞬間はっきりと蘇る。

『夏目漱石は英語の先生をしていた時、生徒のI love youの「我、君を愛す」という訳し方に「日本人はそんな直球に愛を伝えない」と言いました。そして漱石はこう訳すように言ったのです』

夏目漱石の訳したI love youは「月が綺麗ですね」だ。未来の胸が高鳴っていく。嬉しさから涙が溢れていった。返事をしようと口を開く。

「ずっと前から、月は綺麗でした」

未来と悠二は月明かりの下、赤い顔をしながら見つめ合った。
< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

恐怖探偵団と死神運動会

総文字数/16,791

ホラー・オカルト39ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
人の命は簡単に散ってしまう。それは、麗花の存在を認めた時にストンと胸に落ちてきたことだ。 「絶対!絶対誰も死なせません!」 だから、戦う。
表紙を見る 表紙を閉じる
暇だったので、萌葱陽彩さんの作品キャラで色々妄想してみました笑。ご本人からの許可はいただいております! 私の妄想がギュッと詰まっておりますので、地雷の方は回れ右してください!
海洋生物に愛されて、夜も眠れない!?

総文字数/20,338

恋愛(逆ハー)46ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「……無理をするな。頼ってくれ。甘え方がわからないなら、教えてやる」 「ねぇ〜。僕可愛いでしょ?結婚しよ〜!」 「すごく可愛いです。食べちゃいたいです」 擬人化した海洋生物にモテるって、私だけじゃない?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop