わけありくんを護ります

強さが知りたい




「──え?凛、もう一回言ってくれない?」


「だから、私と勝負しようって」



寮の部屋で互いのベッドに座り向かい合う中、わけ分からない、そう言った表情の素の比江島柚希。


それもそう。今になって、比江島くんがどれだけ強いのか知りたいって思ったから。

ヨイヤミ戦でも、実力の全てが見られたわけじゃないだろうし。

やりあえば、少しはわかるかなと好奇心で言ってみたのだ。


「比江島くんの強さが知りたいの」

「んなこと言われてもなぁ……」

「……ダメ?」

「……っ、その顔は反則では……」


その顔とは……。


「えー……俺絶対負けるじゃん。ていうか、勝てないよ凛だけには」

「どうして」

「そもそも勝負したって、俺は凛を殴れないし。殴りたくないし?」

「……なに、当てられると思ってるの?」


一瞬にして殺気立つ私に、ベッドにあぐらをかいていた比江島くんは、姿勢を正し苦笑いをする。

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