裏社会の私と表社会の貴方との境界線
解放
その後は「もうどうにでもなれ」という状態だった。
たったひとりの家族であった姉を失い、精神は崩壊寸前だった。
けれど、ひとつだけ希望があった。
それはあの契約。
だったら、今ここで言いたいこと全部言ってやる。
そう決めて処刑が始まるのを待った。
「続いてカレンの公開処刑を始める。最後に言い残すことは?」
「…るわよ」
「え?」
私はやけになって怒鳴った。
「山ほどあるわよ!!」
そう言ったと同時に能力を発動させた。
想像の実現化、その能力で手枷も処刑道具も消してやった。
民衆の前に立ち、父親と姉の元婚約者をにらむ。
それから、大きく息を吸い込んで言った。
「私はカレン・アイリス!レンカ・アイリスの双子の妹よ!!魔力が少ない私は、存在を隠蔽されて使用人として生きてきた。いじめもされたわ。散々な目に合わせたアイリス家のみなさん、使用人のみなさん、学園のみなさん。今私は感謝しているの」
にこりと笑った。
覚醒。
その言葉を小さく発言し、女神の力を全て解放した。
鮮やかな紫色の髪と瞳、美しい女神としての姿へ。
周りがざわつくのが分かった。
父親はギョッとした顔をしている。
ざまみろ。
私は彼を見下しながら言った。
「私はずっと正体を隠してきました。ここで明かします。私は想像の女神、カレン」
ざわざわ。
その中にはこんな会話が。
「女神様をいじめていたって…とんだ罰当たりね」
「その人こそ処刑すべきよ!」
私は目的を果たした。
この後私をいじめた人達は、まあ想像通り悲惨な未来が待っているだろう。
私の姉を無罪で殺した罪だ。
絶対に許しはしない。
「それでは、公開処刑を始めましょう。女神が死んでしまえばこの国に幸福は訪れない、そうでしょ?それってあなた達にとっては公開処刑ね」
そう言って、私は想像で具現化させた剣を自分の首に置いた。
「私とレンカお姉様を無罪で処刑した罪を許しはしないよ、シャルム」
もう一度にこっと微笑み、私は自分で首をはねた。
ああ、解放される。
この地獄から解放される。
また新しい人生で、親愛なるレンカお姉様と真鈴に出会えますように。
そう願いながら、私は意識を手放した。
ーーーーー
琉愛はいつのまにか泣いていた。
私は彼女の手をにぎる。
「泣かなくてもいいのに」
「っ…だって、華恋は私のせいで死んじゃったんでしょ…?」
「…違うわよ」
私の言葉に、パッと顔をあげた琉愛。
「私はレンカお姉様のおかげで、地獄から抜け出すことができたの。あのまま残っていたら、女神として狙われて散々だったに違いないわ!」
そう聞いても、なかなか納得できないみたい。
私はふっと笑って琉愛を見た。
「私はレンカお姉様の処刑の前、黄泉と契約を交わしたの」
いつでも呼んでね、と言った黄泉はすぐに私の前に現れた。
そして、言った。
『貴女の望みと引き換えに、大切なものをひとつもらうわ』
『…私の望みはレンカお姉様と共に幸せに暮らすことです。それが叶うのならば、全てを差し出します』
そうして契約を結んだ。
レンカお姉様を何があっても自分の能力で助けない、というのを条件に。
「レンカお姉様は殺されてしまったけれど、黄泉は必ず願いは叶えてくれるから。だから、黄泉の力で転生させてくれたんじゃないかって思ったの。そう思ったら、私は自分のやりたいことができた」
彼女の目からは大量の涙があふれていた。
そして、私の目からも。
「これからは、ずっと一緒」
小さく振り絞られた彼女の声が、私を幸せな気持ちにしてくれた。
たったひとりの家族であった姉を失い、精神は崩壊寸前だった。
けれど、ひとつだけ希望があった。
それはあの契約。
だったら、今ここで言いたいこと全部言ってやる。
そう決めて処刑が始まるのを待った。
「続いてカレンの公開処刑を始める。最後に言い残すことは?」
「…るわよ」
「え?」
私はやけになって怒鳴った。
「山ほどあるわよ!!」
そう言ったと同時に能力を発動させた。
想像の実現化、その能力で手枷も処刑道具も消してやった。
民衆の前に立ち、父親と姉の元婚約者をにらむ。
それから、大きく息を吸い込んで言った。
「私はカレン・アイリス!レンカ・アイリスの双子の妹よ!!魔力が少ない私は、存在を隠蔽されて使用人として生きてきた。いじめもされたわ。散々な目に合わせたアイリス家のみなさん、使用人のみなさん、学園のみなさん。今私は感謝しているの」
にこりと笑った。
覚醒。
その言葉を小さく発言し、女神の力を全て解放した。
鮮やかな紫色の髪と瞳、美しい女神としての姿へ。
周りがざわつくのが分かった。
父親はギョッとした顔をしている。
ざまみろ。
私は彼を見下しながら言った。
「私はずっと正体を隠してきました。ここで明かします。私は想像の女神、カレン」
ざわざわ。
その中にはこんな会話が。
「女神様をいじめていたって…とんだ罰当たりね」
「その人こそ処刑すべきよ!」
私は目的を果たした。
この後私をいじめた人達は、まあ想像通り悲惨な未来が待っているだろう。
私の姉を無罪で殺した罪だ。
絶対に許しはしない。
「それでは、公開処刑を始めましょう。女神が死んでしまえばこの国に幸福は訪れない、そうでしょ?それってあなた達にとっては公開処刑ね」
そう言って、私は想像で具現化させた剣を自分の首に置いた。
「私とレンカお姉様を無罪で処刑した罪を許しはしないよ、シャルム」
もう一度にこっと微笑み、私は自分で首をはねた。
ああ、解放される。
この地獄から解放される。
また新しい人生で、親愛なるレンカお姉様と真鈴に出会えますように。
そう願いながら、私は意識を手放した。
ーーーーー
琉愛はいつのまにか泣いていた。
私は彼女の手をにぎる。
「泣かなくてもいいのに」
「っ…だって、華恋は私のせいで死んじゃったんでしょ…?」
「…違うわよ」
私の言葉に、パッと顔をあげた琉愛。
「私はレンカお姉様のおかげで、地獄から抜け出すことができたの。あのまま残っていたら、女神として狙われて散々だったに違いないわ!」
そう聞いても、なかなか納得できないみたい。
私はふっと笑って琉愛を見た。
「私はレンカお姉様の処刑の前、黄泉と契約を交わしたの」
いつでも呼んでね、と言った黄泉はすぐに私の前に現れた。
そして、言った。
『貴女の望みと引き換えに、大切なものをひとつもらうわ』
『…私の望みはレンカお姉様と共に幸せに暮らすことです。それが叶うのならば、全てを差し出します』
そうして契約を結んだ。
レンカお姉様を何があっても自分の能力で助けない、というのを条件に。
「レンカお姉様は殺されてしまったけれど、黄泉は必ず願いは叶えてくれるから。だから、黄泉の力で転生させてくれたんじゃないかって思ったの。そう思ったら、私は自分のやりたいことができた」
彼女の目からは大量の涙があふれていた。
そして、私の目からも。
「これからは、ずっと一緒」
小さく振り絞られた彼女の声が、私を幸せな気持ちにしてくれた。