裏社会の私と表社会の貴方との境界線
***


いよいよ決行の日になった。


私達は裏門に車をとめて、外へ出た。


目の前にはよく見慣れたメア家の立派な屋敷がたっている。


そして、耳につけた魔道具からレイの声が聞こえた。


『それでは作戦開始とします。何かあったらすぐに連絡をしてください。それでは、健闘を祈ります』


私はギュッと手ですそを握った。


今日、境界線をぶち壊す。


***


私達はサクの部屋に一直線に向かった。


斗亜も意外と足が速くて助かった。


「華恋、本当に大丈夫なのかな?大勢が屋敷に入ってきたのに、誰も気がついていないなんて」


「そうね、静かすぎるわ。なにか企んでいるのは間違いなさそうね。気をゆるめないでね」


「わかってる」


そうしているうちに、サクの部屋についた。


私は斗亜に視線で「開けるよ」と伝える。


頷いたのを見て、私は勢いよくドアを開けた。


ドンッ!!!


鈍い音が部屋の中に響き渡る。


すぐに部屋の中を見回しながら、気配を探った。


でも、サクはどこにもいない。


「斗亜、ここにはいないみたいだわ。とりあえず、部屋の中を探ってみましょう」


「そうだね」


それから、私達は手当たり次第情報を探した。


私はサクがいつも座っているところのデスクを調べている。


そして、1番右下の引き出しを開けてみる。


そこには1枚の紙が入っていた。


『僕の婚約者へ


今日が君達がここに攻めてくるのは知っていたよ。


だから、こんな簡単なところには隠れてあげない。


華恋なら僕がどこにいるかわかるはずだよ。


当ててみてね。』


これは確実に私への手紙。


やはり計画決行日を知られていたのか。


それは仕方がないとして、とりあえずレイに連絡を入れよう。


「レイ、予定の部屋にサクはいなかったわ。サク達はやっぱり今日は決行の日だってわかっていたみたい。私達はこれから……そうね、地下室に行くわ」


サクと仲がよかった時にいつも一緒にいたのは、あの薄暗い地下室だった。


広さも十分だし、戦うにはあっている場所だろう。


『了解しました。引き続き、任務を遂行(すいこう)してください』


私は立ち上がった。


「斗亜、サクがいる場所に見当がついたわ。サク達は私達の計画を知っているみたいだったから、絶対に警戒をゆるめないでね」


「…わかった。すぐに向かおう」


斗亜も立ち上がったのを見て、私は地下室に向かって走り出した。


斗亜も後をしっかりとついてきてくれている。


「場所はどこ?」


「地下室よ。加勢が来るのには時間がかかる場所だから、事前にレイには伝えたわ。なにかあったら時間稼ぎね」


「オーケー。やっぱり華恋は頼りになるね」


この状況で冷静に会話ができるなんて、やっぱり表社会のトップね。


「私も頼りにしてるわよ」


「ああ、ありがとう」


さっきよりも嬉しそうな声が後ろから聞こえた。


それから階段を駆け下りて、すぐに地下室に着いた。


「よし、ここね。ここからは自分が生き残ることを考えて戦いましょう」


地下室は防音なので、多少喋っていても平気だ。


「わかった。お互い絶対生き残ろうね」


私は頷いた後、その大きな扉をゆっくりと開けた。


そこに立っていたのは、よく見慣れた笑顔を浮かべたサクだった。
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