ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜
***


私達は雨晴家の屋敷の中庭に移動した。


来た時は正面門から入ったのだが、帰りは裏門からだ。


今日は、少し離れた雨晴家の別邸(べってい)を使っている人がいるらしい。


見つかると厄介(やっかい)なので、裏門から出ようと言われた。


それにしても広いお屋敷だ。


こんなに広いのに、別邸まであるなんて。


やっぱり住んでいる世界が違うな、と私は思った。


「…は、また。近いうちにお会いしましょう」


少しかすれた男の声が少し遠くから聞こえた。


さっき華恋ちゃんが言っていた、来客だろうか。


でも、会うと厄介と言っていたはず。


その時、華恋ちゃんが口元に人差し指を当てて「しっ」と言った。


きっと向こうにいる人達の存在に、気がついたのだろう。


私達は、物陰からそこにいる人達を見る。


50代くらいの男性1人、30代くらいの男性1人、高校生の男女1人ずつ。
< 192 / 270 >

この作品をシェア

pagetop