ヴァンパイアに狙われています!〜運命は危険な出会い〜
その光景を見て、私はすぐに少女に駆け寄った。
「華恋ちゃん…!!」
髪の色は違ったけど、その姿はたしかに華恋ちゃんだった。
私は少しだけ鳥籠を揺らして、その鉄の棒につかまった。
「華恋ちゃん…」
もしかしたら、ここが彩鈴ちゃんの言っていた“華恋ちゃんの心”なのかもしれない。
華恋ちゃんは相変わらず目を伏せていて、動き出す様子はかけらもない。
とても美しい姿だった。
「華恋様、おふたりを連れてきたのです。なにかおっしゃってはどうでしょう?」
いつのまにか私の隣に立っていた如月さんがそう言った。
すると、華恋ちゃんはゆっくりと顔をあげて如月さんを睨んだ。
「貴女、いつまでそうしているつもり?その表情の裏で、私を嘲笑っているくせに…!!」
その言葉にも、如月さんが表情を変えることはなかった。
そして、変わらず無表情で跪いた。
「そのようなことはございません」
すると華恋ちゃんはゆっくりと鳥籠の扉を開け、勢いよく如月さんの頬を叩いた。
パンッ!と乾いた音が鳴り響いた。
こんな華恋ちゃんは初めて見る。
「嘘よ…!今更なに!?貴女と私は契約破棄したはずでしょう?それに、私が憎いって言ってたじゃない!!だから私の体を乗っ取ろうとしたのでしょう!?」
ど、どういうこと?
いまいち話が読めなくて、頭の中ははてなだらけ。
如月さんは華恋ちゃんを憎んでいるの?
仲間じゃなかったの?
すると、如月さんはゆっくりと口を開いた。
「貴女様に宿る女神カレン様はおっしゃいました。『華恋は私の全てなの。だから、天界に戻る必要はないわ。もう少しだけあの世界にいさせて。身勝手だけど、ごめんなさい。まだ見ていない景色をあの美しい人間界で見たいの』と。カレン様を助けたいと思ったがゆえ、私の行動が傷つけてしまっていたのかもしれません」
長らくの沈黙が訪れた。
ピリピリとした空気の中、私は声を発することはできなかった。
そんな中、真白くんが私に耳打ちをした。
「華恋が女神なのは知ってるよね?華恋の中には女神の中で1番強いカレンっていう女神の魂が宿ってて、そのおかげて華恋は生きていられるし能力を使えるんだ。でも、その代わり女神カレンは力が足りなくなって目覚めない。レイは女神カレンを異常なほど慕っているから、女神カレンの自由を奪った華恋のことを憎んでるらしい」
天音さんに華恋ちゃんは転生してきた、なんて聞いてはいたけどそういうことだったんだ。
でも女神カレンは、どうして自分が目覚めなくなってでも華恋ちゃんに力を与えたんだろう?
私だったら絶対にそんなことをしないのに。
「カレン様はこのままでは女神の座を下されてしまいます。そんなことは許されません。あのような素晴らしいお方が女神の座を降りるなどあってはならないことなのです。ですから、最初は黄泉様のお力をもらうことに賛成いたしました。ですが…ですが…!まさかカレン様が目覚めなくなってしまうなんて……」
如月さんは初めて表情を歪めた。
それほど女神カレンが好きだったのだろう。
胸の辺りがキュッとなった。
「なによ…逆恨みじゃない…」
華恋ちゃんの声は弱々しかった。
「……はい。そうですね。カレン様にも同じことを言われました。そして一言…」
如月さんはまるで覚悟を決めたように目を閉じて、強く言葉を口にした。
「『華恋を、私を守って』…とおっしゃいました。華恋様への恨みが消えることなどございません。ですが、華恋様を幸せにする義務が私にはございます。ですから、このように仕組みました」
「…私の体を乗っ取る隙ができて、しかも精神世界への干渉能力を持つ彩鈴が近くにいるタイミングをわかってて狙ったわけね」
華恋ちゃんは大きなため息をついた。
それから、しっかりと如月さんを見て言った。
「私を裏切らないって信じてもいい?」
「…はい。カレン様が望まれた未来ならば、私が裏切ることはございません。出過ぎた真似を、申し訳ございませんでした」
如月さんは深く礼をした。
すると、華恋ちゃんはゆっくりと頷いて夜空を見上げた。
「彩鈴、魔力を贈るからもう少しだけ繋げていられる?」
どこからか私たちを見ているかもしれない彩鈴ちゃんが声を出した。
『う、うん…!大丈夫だと思う!』
その声を空間に響くと、華恋ちゃんは手を夜空に掲げて言った。
「“我が身に宿る魔の力よ、力を分け与えよ。治癒”」
その後華恋ちゃんの体は淡く光り、私を見てふっと微笑んだ。
そして、また暗い世界へと落ちていった。
真白くんの腕をとっさに掴みながら。
「華恋ちゃん…!!」
髪の色は違ったけど、その姿はたしかに華恋ちゃんだった。
私は少しだけ鳥籠を揺らして、その鉄の棒につかまった。
「華恋ちゃん…」
もしかしたら、ここが彩鈴ちゃんの言っていた“華恋ちゃんの心”なのかもしれない。
華恋ちゃんは相変わらず目を伏せていて、動き出す様子はかけらもない。
とても美しい姿だった。
「華恋様、おふたりを連れてきたのです。なにかおっしゃってはどうでしょう?」
いつのまにか私の隣に立っていた如月さんがそう言った。
すると、華恋ちゃんはゆっくりと顔をあげて如月さんを睨んだ。
「貴女、いつまでそうしているつもり?その表情の裏で、私を嘲笑っているくせに…!!」
その言葉にも、如月さんが表情を変えることはなかった。
そして、変わらず無表情で跪いた。
「そのようなことはございません」
すると華恋ちゃんはゆっくりと鳥籠の扉を開け、勢いよく如月さんの頬を叩いた。
パンッ!と乾いた音が鳴り響いた。
こんな華恋ちゃんは初めて見る。
「嘘よ…!今更なに!?貴女と私は契約破棄したはずでしょう?それに、私が憎いって言ってたじゃない!!だから私の体を乗っ取ろうとしたのでしょう!?」
ど、どういうこと?
いまいち話が読めなくて、頭の中ははてなだらけ。
如月さんは華恋ちゃんを憎んでいるの?
仲間じゃなかったの?
すると、如月さんはゆっくりと口を開いた。
「貴女様に宿る女神カレン様はおっしゃいました。『華恋は私の全てなの。だから、天界に戻る必要はないわ。もう少しだけあの世界にいさせて。身勝手だけど、ごめんなさい。まだ見ていない景色をあの美しい人間界で見たいの』と。カレン様を助けたいと思ったがゆえ、私の行動が傷つけてしまっていたのかもしれません」
長らくの沈黙が訪れた。
ピリピリとした空気の中、私は声を発することはできなかった。
そんな中、真白くんが私に耳打ちをした。
「華恋が女神なのは知ってるよね?華恋の中には女神の中で1番強いカレンっていう女神の魂が宿ってて、そのおかげて華恋は生きていられるし能力を使えるんだ。でも、その代わり女神カレンは力が足りなくなって目覚めない。レイは女神カレンを異常なほど慕っているから、女神カレンの自由を奪った華恋のことを憎んでるらしい」
天音さんに華恋ちゃんは転生してきた、なんて聞いてはいたけどそういうことだったんだ。
でも女神カレンは、どうして自分が目覚めなくなってでも華恋ちゃんに力を与えたんだろう?
私だったら絶対にそんなことをしないのに。
「カレン様はこのままでは女神の座を下されてしまいます。そんなことは許されません。あのような素晴らしいお方が女神の座を降りるなどあってはならないことなのです。ですから、最初は黄泉様のお力をもらうことに賛成いたしました。ですが…ですが…!まさかカレン様が目覚めなくなってしまうなんて……」
如月さんは初めて表情を歪めた。
それほど女神カレンが好きだったのだろう。
胸の辺りがキュッとなった。
「なによ…逆恨みじゃない…」
華恋ちゃんの声は弱々しかった。
「……はい。そうですね。カレン様にも同じことを言われました。そして一言…」
如月さんはまるで覚悟を決めたように目を閉じて、強く言葉を口にした。
「『華恋を、私を守って』…とおっしゃいました。華恋様への恨みが消えることなどございません。ですが、華恋様を幸せにする義務が私にはございます。ですから、このように仕組みました」
「…私の体を乗っ取る隙ができて、しかも精神世界への干渉能力を持つ彩鈴が近くにいるタイミングをわかってて狙ったわけね」
華恋ちゃんは大きなため息をついた。
それから、しっかりと如月さんを見て言った。
「私を裏切らないって信じてもいい?」
「…はい。カレン様が望まれた未来ならば、私が裏切ることはございません。出過ぎた真似を、申し訳ございませんでした」
如月さんは深く礼をした。
すると、華恋ちゃんはゆっくりと頷いて夜空を見上げた。
「彩鈴、魔力を贈るからもう少しだけ繋げていられる?」
どこからか私たちを見ているかもしれない彩鈴ちゃんが声を出した。
『う、うん…!大丈夫だと思う!』
その声を空間に響くと、華恋ちゃんは手を夜空に掲げて言った。
「“我が身に宿る魔の力よ、力を分け与えよ。治癒”」
その後華恋ちゃんの体は淡く光り、私を見てふっと微笑んだ。
そして、また暗い世界へと落ちていった。
真白くんの腕をとっさに掴みながら。


