離婚を前提にお付き合いしてください ~私を溺愛するハイスぺ夫は偽りの愛妻家でした~
「あっ、いけない。お母さんにお礼のメールしておかないと」

 今日、夕食作りでバタバタとしているときに、母から荷物が届いていたのだ。千博に受け取ってもらい、中身が乾物や菓子などの食品であることは確認したが、受け取った旨をまだ母へ伝えていない。夕食の後で連絡しようと思ってすっかり忘れていた。

 入浴後に連絡してもいいが、また忘れそうな気がして、美鈴は脱ぎかけた服を戻す。携帯は充電のために寝室のサイドテーブルに置いていたはずだ。脱衣所を出て、寝室へと向かう。

 その途中、扉越しにリビングの方から千博の声が漏れ聞こえてきた。

『――一時間くらいは出てこないだろうから大丈夫。それにしてもこんな時間に手嶋(てしま)から連絡してくるなんて珍しいな』

 どうやら手嶋と電話をしているようだ。千博と同じ部署に勤める手嶋は千博の旧友でもあるようで、結婚するときに紹介してもらっている。『一時間出てこない』というのは美鈴の入浴のことを言っているのだろう。

 友人との会話を盗み聞くわけにはいかない。美鈴は急ぎ足で寝室へと移動する。

 そうすれば思った通りサイドテーブルに自分の携帯を見つけた。それを手に取って、母へメールを送る。宅配便を受け取った旨とそのお礼、それから簡単に近況を書いておいた。

 母からすぐに返信はあるだろうが、それは入浴後の確認で問題ないだろう。そう考えて再び浴室へと向かう。廊下に出れば、また千博の声が聞こえてきた。
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