はるけき きみに  ー 彼方より -
「・・あ」
 鹿島の口があんぐりと開いた。
 思考が追い付かない(てい)だ。

 しばらく目を泳がせてから、
「・・そ、そうか。そういう事になっているのか」
 その場にすとんと座り込む。

 手から力が抜け、刀が滑り落ちた。

 石川が素早く拾って遠ざける。

「そうだ、それでいいのだ」
 マシューがニヤリとわらった。

 紫音のそばに行くと、
「もう大丈夫だ、紫音。この場は任せてくれ」

 彼女はわなわなと震えていた。
 涙目になってマシューを見上げる。

 肩に手をかけた。
 紫音がすがりついてこようとする。

 だが寸前ではっとした、自分を制するように動きを止めた。
 武士の娘としての行動だ。

「・・紫音」
 名を呼んだ、その体をぐいと引く。

 彼女が自分の胸に落ちてきた。
 落ちてきたそれを、両手でしっかり抱きしめた。


 石川は刀を遠くへ置きやった。
 そして帰ってくる。
 彼の目に、二人の姿が飛び込んできた。

 唖然という顔になった。
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