きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜
なぜオレがモテているのかわからない。だって、オレ面倒ごとにはかかわらないって決めてるからリーダー体質じゃないし、いっつもこいつ心情あんの?ってくらいポーカーフェイスなのに。
最近女子たちは小学生のころよりも恋好きになっていっている。この前、衣川は恋好きの女子を頑張って演じていると言っていた。本当にそうだろうか。みんな演じているのか?わからねぇよ。しかたなく教室へもどろうと一歩進んだとき、なんとなく気配を感じて後ろを振り向くと桜の木の幹の向こう側に衣川がいた。声が、聞こえてくる。
「はあ、私もう疲れちゃったな。いいなぁ、この桜の木のほうがよっぽどのびのび生きているだろうに。私は毎日、恋好きの女子を演じる。それって簡単なことじゃないよなぁ」
その言葉にハッとする。もしかしたら俺も冷たい男子を演じていて本当の自分を押し隠しているのかもしれない。
思い返せばこの性格になってしまったことで感じたことはいくつもあった。もちろん気が楽なこともあったけれどそれだけじゃなかった気がする。
トラブルに巻き込まれた時も言いたいことはあった。女子とも仲良くしたいとも思った。俺は、自然におびえていてこの性格になったのだと思う。トラブルに巻き込まれて噂にされたり、女子と仲良くして付き合っているんだねと冷やかされたり。
みんなにどうみられるかばかり気にしていた。みんなに悪口を言われるのが怖かった。だから一生懸命いい人でいようとした。でもいつかもう楽な方へ向かっていった・・・・・・
そうじゃないか?そう考えたら衣川だって一生懸命だ。ただ、みんなといたいんじゃない。きっと、自分から向き合おうとしたら自然とそうなっていったんだ。でも俺はそんな女子をキモイとか意味不明としか思えなかった。
よくよく考えたら俺よりも衣川の方が考えているのかもしれない。俺はいつだって心の中ではうっとうしいとみんなを遠ざけていた。でも、衣川はどうだ?恋好きの女子にうんざりしながらもそれに向き合っていたのじゃないか?俺も、変わらなくちゃ。いつまでもこのままじゃだめだ。きっと、変われる。
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