きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜
1.恋好きの女子
羽音愛(はねあ)ー!おはよ。ねえねえ、綾香(あやか)ってば後藤先輩にまだデートに誘ってないんだよ?やばくない?」
私が教室に入るなり、いつものメンバーが集まってきた。私はこのクラスの二つ目のグループの中心にいる。私はみんなの中では恋好きの普通の女子中学生。グループのメンバーは河林綾香(かわばやしあやか)黒野友香(くろのゆか)更科美桜(さらしなみお)。今は綾香はバレーボール部の後藤(ごとう)先輩と付き合っている。今、みんなは恋バナに夢中だ。今時、恋の話をしていない女子なんてこのクラスに存在しない。きっと、恋なんか興味ないですって顔してたら仲間外れにされてしまう。
だから・・・・私もそんな女子を演じていなっている、つもりだ。本当は恋なんかに興味なんてないし、男子を好きになるって感覚もわからない。それにクラスメートは本当に小学生に見える。口を開けば恋バナばかり。そんな女子が言ううわさ話は人の悪口でしかない。もう、いや・・・まじめな女子ばかりの中学がよかったな。いっそ受験しちゃえばよかったんじゃ?たまにそんな考えが頭をよぎる。
「えー、なんで?誘っちゃえばいいじゃん!だって後藤先輩も綾香のことが好きって告白したときに言ってくれたって言っていたじゃん。・・・・でも、まあそんな簡単じゃないよねー」笑いながら席に着く。「でしょー?!さっすが羽音愛!わかってるぅ~‼」バンバンと机を手で軽くたたきながら綾香は興奮気味だ。
「て、いうか綾香。後藤先輩もいいけどさ、月音(つきね)くんもよくない?私はやっぱり月音くん推しだよぉ・・・うちのクラスにプリンスがいるってほど幸せなことはないよ‼」美桜が言葉を発する。
そう、なのかな・・・?だって学校中のプリンスがいたってなにかあるの?
「じゃあ、羽音愛もさ、十月になったら一緒に写真部はいろうよ。楽しいよ。かわいい鳥とかきれいなお花とってさコンクールに応募したらたまに入賞するし写真編集のしかたとか先輩がていねいに教えてくれるんだよ。」美桜が笑顔で魅力を伝える。
その時、チャイムが鳴り響いた。ガラガラと扉が開いて先生が入ってくる。「こら、皆さん席について。」静かに先生に言われる。「せっかく話してたのにぃ~」美桜が名残惜しげあ声を出して席に向かって歩き出した。
みんなが席に戻る。私たちのグループの子たちはまだ恋愛に関してマシな方。このクラスにはだれにも負けないくらい恋愛が好きすぎる子がいる。それは・・・・
「こら、香波(かなみ)さん。先生の話、聞いているの?授業中です。静かにしなさい。」国語の先生がメガネをゆっくりと持ち上げて香波さんを見つめる。
そう、うちのクラスでの一番恋愛が好きな子は香波ゆずは(かなみゆずは)とその取り巻きのグループ。授業中のおしゃべりもひどいし、スカートを短くしたりマニキュアをぬったり、髪の毛を染め上げたりとたまに校則違反もする。
「まったくもう。次、おしゃべりしていたら許しませんからね。」いらだちを含んだ口調で言われて香波さんは反省した・・ふりをした。そのあとなんか周りの子たちとこそこそ話している。どうせ、先生の悪口でも言ってるんだろうな。私はあきれて板書を書き写し始めた。
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