きみと私の恋のみち〜想いを伝えたい〜
放課後のチャイムが鳴り響いてみんなが部活動へ向かい始める。私は帰宅部だ。部活動に入らなかった理由は二つある。一つ目は絶対に恋愛にいやでも絡まれてしまうから。二つ目は家にいたほうが気楽だから。恋好きの女子を演じなくて済むし、好きなことをしていられるし。だから私は帰宅部。かばんを肩にかけて立ち上がる。
「はあ、どうして中学生って恋バナばっかりで小学生みたいなことしゃべるんだろう。はあ、疲れた。」一人でぶつぶつとぐちっていると「俺もクラスメート全員小学生に見えるぜ。みんな恋バナ大好きだよな。でもな、悪口ばっか言ってたらやっていけなくなる。」声がしたほうを向くと。そこにはドアの近くの壁にもたれかかってこちらを見つめる月音くんが。「つっ、月音くん?!」「なあ、衣川も思ってんの?なのに普通の女子みたいにすごしてるじゃんか。」その言葉に複雑な気持ちになった。
「だって、仲間外れにされたくないじゃん・・・」「ふうん。でもさ、そうやって無理して演じて笑ってるよりはかかわらないほうが楽ちんだぞ。」「月音くんはできるかもしれないけれど私にはできないの。ここまで来てキャラ変えてかかわらなくしたらどうなると思う?すぐにみんなからはじかれる。」
綾香たちや家族にさえ言えない気持ちが何もかも素直に包み隠さずに言えた。それは、月音くんが私に対して特に何も知らなく人物だからかもしれない。
「そこまでみんなでいたいのか。ま、女子ってそんなもんだよな。」そう言って自分の机の中からペンケースを取り出してさっさと帰ってしまった。月音くん本音をちょっぴり聞いちゃった・・・・いいのかな・・・・・・月音くん、かかわらないようにしてるんだ。だからいつもクールである意味冷たくて・・・考えていると、耳をつんざくような声。
「ちょっと、衣川さん!」声がしたほうを見るとそこにはクラスの問題児、香波ゆずはさんが。「えっ、ちょっ・・・香波さん・・!!」
香波さんは私のほうをぎろりとにらみつけていた。「あんた、何話していたの亜希様と。」
「えっ、私は別に・・・!」「私は何にも関係ないですって顔して実は亜希様とカレカノするつもりでしょ。グループの中心にいるからって自分が偉いとか思ってるんでしょ?やめなよ!卑怯者‼」
そう言って私を突き飛ばした。「きゃあっ・・!」しりもちをついてしまった。ふんと鼻息荒く香波さんはもう一度私をにらみつけて言う。「今度、亜希様としゃべってたらね、あたし、何するかわかんないから!」そう言って床に投げつけられたかばんをひっつかんで行ってしまった。突然の大声と怒り方に驚いてしばらく動けずにいた。やっと我に返ってよろよろと家へ帰った。
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