クールなエリートSPは極悪か溺甘か ~買われた新妻は偽りの旦那様の執愛から逃れられない~
「凜は何か希望は?」
「派手すぎず、両家の親も納得してくれる内容ならなんでも」

言ってから、可愛げのない返答だったかなと気づく。瑛輔はくすりと笑って私の頬に触れた。

「おまえらしいな。俺もそれに賛成だ。だけどこれからやりたいことができた時は遠慮なく言え。凜の願いは全て叶える」
「あ、ありがと…」

彼が言うので私の心がまたふわふわする。瑛輔の手は温かいけれど、その何倍も頬が熱い。
素直な瑛輔の表情も優しげな声音も、心臓が早くなる。
心地が良いのだ。瑛輔はイジワルも言うけれど、ほんとは優しいと知ってしまった。私を思ってくれているのも。

「何ニヤついてんだ。そんな隙だらけな表情してると食われるぞ」
「何に食われるって言うのよ」

瑛輔は不敵に目を細めると指を滑らせ、私の顎を持ち上げる。

「…おまえの夫」
「へ…」

間近に迫る瑛輔の瞳は本気なのかふざけているのか分からないから困る。変な声を上げた私を見下ろし、彼は眉を下げて笑った。

「なんだよ。自分でキスまでしておいて、恥ずかしがることないだろ」
「あ、あれは、頬だったから!」
「ふーん。 じゃあ、これは?」

瑛輔はにやりといたずらっ子のような表情で私の頭を抱き、額に唇を押し当てた。
柔らかな感触がダイレクトに伝わる。
固まる私を見下ろして瑛輔がしたり顔で言う。

「悪い。おまえには刺激が強すぎたか」
「ばかにしてるでしょ…」
「まさか。可愛いの間違いだろ」

全く悪びれない様子の瑛輔。
こういうとこは変わってない。…むしろ、前よりもレベルアップしてるかも……。

それが嫌ではなくて、ただ心臓の鼓動がドカドカと早まる。

結婚当初を思い起こすと、私の瑛輔への感情も変化しているのだ。


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