君の心の見つけ方。
「こころちゃん、この事は誰にも言っちゃダメよ?言ったら、みんなに嫌われちゃうからね?絶対に秘密だからね?」
わたしは小さい頃から、母にそう言われて育ってきた。
だから、わたしには、、、誰にも言えない秘密がある―――
「こころちゃん、忘れ物はない?」
そう言って、わたしに駆け寄ってくる母。
「ねぇ、もう"ちゃん"付けはやめてくれない?わたしもう24よ?」
「ママにとっては、ずっと可愛いこころちゃんのままなのよ?」
母はそう言うと、わたしの服装を確認に不満そうな表情を浮かべた。
「こころちゃん、その格好で行くの?」
「うん、ダメ?」
「もう立派な女性なんだから、少しはお洒落も覚えないと!ママが買った服、全然着てくれないんだからぁ。」
「だって、ママが買ってくる服、ザ・お嬢様って感じの服ばっかりなんだもん。わたしはラフな方が好きなの。」
「もう〜、これからお嫁に行くっていうのに。」
そう、わたしはこれから嫁に行くのだ。
正確には、まだ婚約。
相手は、世界的にも有名な自動車メーカー"TOMORI"の社長の息子、友利基だ。
基とは、親同士が仲が良い為、小さい頃から面識がある幼馴染みたいなものだった。
わたしたちは親同士が決めた結婚、今時政略結婚をさせられるのだ。
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