守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~
第2話 冷たい夜風と共に、あなたは現れた
「はあ……はあ……はあ……」
私は夜の闇の中、ひたすら都の外れにある町屋の間を駆ける。
もう何十分走ったのだろうか。
いや、もしかしたら数分にも満たない短い時間なのかもしれない。
それでも、十歳ほどの細い私の足は限界を迎えていた。
「ぐああー!!」
犬でもない猫でもない。
禍々しい何か怖い「それ」は、狼のような速さで私に襲い掛かって来る。
「んぐ……」
私は裏道に入り込んで木樽を転がして相手の行く手を阻みながら、必死に前へ前へ走った。
なるべく細い道を選んで、大きな体の「それ」に捕まらないように逃げる。
なんとか闇に包まれた家の軒先に隠れ、小さく体を縮こませながら息を殺す。
うまく逃げられたのか、私を見失った「それ」の気配が消えた。
視線だけを動かしながら周りを確認する。
やがて、私の心臓の音が少し鳴りやんだその時、「それ」は突然現れた。
「ぐおおおー!」
私を見つけて雄たけびをあげた「それ」は私に手を伸ばしてくる。
「やだっ! 来ないでっ!!」
私は夜の闇の中、ひたすら都の外れにある町屋の間を駆ける。
もう何十分走ったのだろうか。
いや、もしかしたら数分にも満たない短い時間なのかもしれない。
それでも、十歳ほどの細い私の足は限界を迎えていた。
「ぐああー!!」
犬でもない猫でもない。
禍々しい何か怖い「それ」は、狼のような速さで私に襲い掛かって来る。
「んぐ……」
私は裏道に入り込んで木樽を転がして相手の行く手を阻みながら、必死に前へ前へ走った。
なるべく細い道を選んで、大きな体の「それ」に捕まらないように逃げる。
なんとか闇に包まれた家の軒先に隠れ、小さく体を縮こませながら息を殺す。
うまく逃げられたのか、私を見失った「それ」の気配が消えた。
視線だけを動かしながら周りを確認する。
やがて、私の心臓の音が少し鳴りやんだその時、「それ」は突然現れた。
「ぐおおおー!」
私を見つけて雄たけびをあげた「それ」は私に手を伸ばしてくる。
「やだっ! 来ないでっ!!」