守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~
「いえ、ありがたいお話ですが、私は亡くなった父や母に拾われた子でございます。年は……わかりません」

 そうだ、私は拾い子のため年齢がわからなかった。
 だいたいの年月で覚えており、おおよそ十くらいの年齢だろうと思う。
 彼は私から目を逸らす。

「では、今日がお前の生まれた日とする。十一の月の三日。今から八年後の今日までに身につけろ。できるな?」

 どうやって生きる術を身につければよいだろうか。
 そうして考えた時に、先程のことが頭をよぎった。

 刀を手に持って救ってくれた彼のその後ろ姿。
 頼もしくて、優しくて、そして何より強かった。

 私もなれるだろうか。
 この命を救ってくれた彼のように、強く、強く──

「あなた様のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」

 私が尋ねると、こちらを向いて彼は口を開いた。

「零」

 彼の名を聞けたことが少し嬉しくて、胸元をぎゅっと握り締める。

 零様のために役に立つことができるだろうか。
 そのために私は何をすべきだろうか。


「強くなれ」
「え……?」
「お前自身でお前の身を守れ」

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