The previous night of the world revolution5~R.D.~
誰かと思えば。

「華弦さんじゃないですか」

言わずと知れた、俺の派閥の準幹部。

ルヴィアさん嫁の姉、華弦である。

「あぁ、良かった。もう戻ってましたね。これ、あなたのサインが必要な書類なので、急ぎお願いします」

華弦はそう言って、俺に書類を差し出した。

あー、はいはい。

「ルルシー、ちょっとボールペン貸してください」

「ん?あぁ…はい」

ルルシーの手汗が染み込んだボールペン…。

…にゅふ。

ちょっとうきうきしながら、さらさらとサイン。

そのとき、ふと思い出した。

そういえば。

「華弦さん、確か今日の午前中、準幹部会議でしたよね」

「えぇ、そうですが」

あ、やっぱり。

「どうでした?やっぱり『天の光教』のことを?」

明日になれば、会議の報告書はあがってくるのだが。

口頭の報告だけでも、先に聞いておきたい。

「…そうですね。その話で持ちきりです」

華弦は、うんざりしたような顔で言った。

だよねぇ。

俺もうんざりだよ。

「あー、やだやだ。『天の光教』が何考えてるのか知りませんけど、名前からして胡散臭いったら…」

「…?ルレイアさん、あなた『天の光教』の教義をご存知ないんですか」

あん?

「知りませんけど…。あなたは知ってるんですか?」

「以前、とある経緯で『天の光教』が配布している公式パンフレットを手に入れまして…」

何だと?

そんなもんがあるのか。

「良ければ、持ってきましょうか」

「お願いします」

俺は、間髪入れずに答えた。
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