The previous night of the world revolution5~R.D.~
「王政、貴族制度はすぐにでも廃止すべきです。神に与えられた自由に生きる権利を、今こそ私達の手に返し、全ての富と財産を共有し、皆で幸せをも共有するべきなのです」

…。

「そして、自らの保身のことしか考えぬ帝国騎士団。彼らは神の宿敵です。私達は人を愛し、隣人を助ける為に生まれてきたはずなのに、彼らはあらゆる利権を自分達だけで独占し、国の行く先を自分達の都合の良いように進めようとしています。今のルティス帝国の経済状況を見れば、それは一目瞭然ではありませんか」

…。

「何故、自分だけが幸福になろうとするのですか?それはおかしいではありませんか。私達は皆、平等に幸せになる権利があるのです。それなのに、その権利が守られる者もいれば、守られない者もいる。そんなことは間違っています。あなたが幸せなら、目の前の誰かも幸せでなければなりません。私達は皆同じ…愛されるべき神の子なのですから」

ルチカ・ブランシェットがそう訴えかけると、観衆は割れんばかりの拍手で応えた。

その通り。あなたの言う通り、と。

だが。

俺は正直、ここいらが限界だった。

「…随分と『素敵』な理想論ですね」

拍手が収まらないうちに、俺は観衆に冷水を浴びせかけた。
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