The previous night of the world revolution5~R.D.~
まったくアストラエアめ。息子ほども歳の違うルーシッドに、よくもまぁ怒鳴り付けられるものだ。

大人気のない奴め。

だが、お互いの言い分はよく分かる。

もう毎日のように、似たような議論が交わされている。

『天の光教』は連日デモ行為を行ってはいるが、今のところ武器を手にしてはいない。

彼らがこれ以上勢力を拡大し、暴力という手段に出る前に。

彼らと平和的交渉を行い、『天の光教』に傾きつつある国民感情に寄り添い、互いに共存する道を選ぶ。

最も流血が少なく、そして国民を敵に回すことのない、平和的な手段だ。

元々流血沙汰を嫌うルーシッドが、この意見を推すのは当然と言えば、当然。

誰だって、戦って傷つきたくはないからな。

むしろ、逆らう『天の光教』の信者を皆殺しにしたらどうなるか。

国民達は、ここぞとばかりに俺達を批難するだろう。

帝国騎士団、及び女王による支配政治だとなじるだろう。

それこそ、箱庭帝国のような革命にまで発展しかねない。

『天の光教』を武力によって黙らせるのは、現実的ではない。

ただでさえこの不況のせいで、国民からの支持率は低迷しているのだ。

国民達にとって、帝国騎士団は敵なのだ。

自分達の貧しさは、全て俺達のせいだと思っている。

理不尽な話だよなぁ。

俺達だって、やれることは全てやってきたというのに。

仕方がない。過程より、結果が全てということだ。

そこに、『天の光教』が現れて、更に「帝国騎士団は敵」と煽り始めた。

そのお陰で、俺達は完全にルティス帝国の悪者にされてしまった。

それが、今の俺達の現状なのである。

…あまり、認めたくはないけどな。
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