The previous night of the world revolution5~R.D.~
「や、やべぇ…。ケーキが食えないなんて…。マジでやべぇ…」

アイズの説明で、事の重大さを理解したらしく。

アリューシャは珍しく青ざめて、そしてルルシーに飛び付いた。

「やべぇぞルル公!呑気にしてる場合じゃねぇ!アリューシャ達がケーキ屋を守らねぇと!アリューシャの!ケーキが!」

「うるせぇな、アリューシャ…。ケーキくらいなくなったって良いだろ…」

「良い訳ねぇだろ!ケーキだぞ!?アリューシャの大好きなおやつが!なぁルレ公!?」

え、俺?

「ルレ公だって、おやつ食べられなくなったら困るだろ!?」

「確かに。俺も毎晩『おやつ』を食べてますからね。なくなったら困りますよ」

「…お前の『おやつ』は意味が違うだろ」

ルルシーのツッコミは、まぁ聞こえなかったとして。

おやつの種類が何であれ、なくなったら困るのは一緒。

「例えケーキ屋がなくなったとしても、砂糖と小麦粉と卵が市場に出回る限り、俺が手作りしてやるから心配ないぞ、アリューシャ先輩」

「ルリ公マジ神!アリューシャの味方!」

「おいルリシヤ。アリューシャを甘やかすな」

うちには頼もしい後輩がいるもんね。

何かの物資が不足しても、大抵のものは別の何かで代用してくれそうだ。

「でもねアリューシャ。問題はケーキ屋さんだけじゃないんだよ」

「何だと?」

「ケーキ屋さんが潰れてなくなると同時に、アイスクリーム屋さんも、クレープ屋さんも、クッキー屋さんもなくなっちゃうんだ」

「…!?」

クッキー屋さんなんてあるのかな、と思ったが。

アリューシャには、そういう説明をした方が分かりやすいと判断してのことだろう。

要するに、ケーキがなくなったら、アイスもチョコもクッキーも、連鎖的になくなるよ、ってこと。

「マジかよ!この世の終わりじゃねぇか!おやつのない世界に、アリューシャが生きてる意味はあるのか!?」

「…お前の生きる意味は、おやつオンリーなのか?」

というルルシーのツッコミは、これまた聞こえなかったとして。

「そしてついには、おやつが全滅してしまう。アリューシャはおやつタイムに、何のおやつも食べられなくなっちゃうんだ」

「嫌だ…。そんなの嫌だ!助けてルリ公!」

「任せろアリューシャ先輩。牛乳がなければ牛を飼い、砂糖がなければサトウキビを植え、卵がなければ養鶏を始めるまでのことだ」

なんて逞しいルリシヤ。

一生、ついていきます。
< 16 / 627 >

この作品をシェア

pagetop