The previous night of the world revolution5~R.D.~
「あはははは!こんなことになるだろうと思ってましたよ。ウケる~!」

俺、大爆笑。

「あのな、ルレイア…。一応今、帝国騎士団とは仲間な訳だから…。そんな笑ってやるなよ…」

ルルシーに諌められるも、笑いが止まらない。

あの帝国騎士団が手を焼いて困ってるかと思うと、笑わずにはいられない。

あ~ウケる。ざまぁ。

「次々入ってくるわね、速報…」

シュノさんが、自分のスマートフォンを見ながら言った。

さすがに少し驚いているようだった。

ぴろりんぴろりんと、次々にニュース速報が入ってくる。

あちらでデモが確認された、こちらでデモが確認された、と。

勿論、帝国騎士団はデモを看過しないと宣言しているので、早速有言実行とばかりに、片っ端からとっ捕まえてるようで。

デモ行為が確認された、というニュースと共に、何処其処で起きたデモはたった今鎮圧された、全員逮捕されたというニュースも、同時に入ってくる。

鬼ごっこかよ。

「こりゃもう暴徒化間違いなしですね」

「だろうな…」

ってか、既に起きてるかも。

面白いことになりそうじゃないか。

帝国騎士団は昨夜の会見で、公然と『天の光教』に喧嘩を売った。

最早、両者どちらかが退くまで終わらない。

これで、完全な傍観者でいられたら良かったんだけどなぁ。

俺達も無関係でいられないのが辛いところ。

『天の光教』にとっては、『青薔薇連合会』も敵なんだもんな。

帝国騎士団が本格的に動き出した今。

俺達も、動き方を考えなくてはならない。

「…ところで、アリューシャは?」

ルルシーが、部屋の中を見渡した。

アリューシャ以外の幹部達は皆揃っているのに、アリューシャだけがいない。

「あぁ、アリューシャは寝てるよ。この間私が買ってあげた、うさぎさん抱き枕を抱いて」

何それ可愛い。

「…叩き起こしてこいよ。ルティス帝国の一大事だって、あいつ分かってんのか?」

「駄目駄目。こんな夜明け前の中途半端な時間に起こしちゃったら、アリューシャの睡眠サイクルが狂っちゃうもん。お昼寝時間が長くなっちゃう」

「一生寝とけ、もう」

ま、まぁ良いじゃないか。

気持ちは分かるよ。俺だって、今夜は泊まり込みのせいで、夜の『おやつ』食べられなかったから。

ちょっとフェロモンの調子がね。

すると。

「ルルシーさん、皆さん。今日の朝刊、手に入りました」

そこに、ルルシーの部下、ルヴィアさんがやって来た。

その手には、新聞の束。

各新聞社の朝刊を、いち早くかき集めてきてくれたらしい。

「ありがとう。ご苦労だったな、ルヴィア。もう帰って良いぞ」

新聞を受け取りながら、ルルシーが答えた。

あら、優しい。

「え、でも、こんなときに…」

「お前が丸一日帰らなかったら、嫁が心配するだろ。顔を見せて、安心させてやれ」

「…ルルシーさん…」

家庭持ちの部下を労る、優しいルルシー。

なんて素敵なんでしょう。さすが俺の嫁。

「ありがとうございます…。実は嫁、俺が昨夜、『今日は帰れない』ってメールしたら、『(*`Д´)ノ!!!』って返信してきて…」

「…」

「今日も帰れなかったら、危うく着信拒否されるところでした。ありがとうございます。お言葉に甘えて、ダッシュで帰ります!」

「あ、あぁ…」

ルヴィアさんは腰を90度に曲げてお礼を言い、そしてくるりと踵を返し。

本当に、ダッシュで帰っていった。

さようなら。

「…仲直り出来てると良いですね」

「…そうだな」

クランチェスカ夫妻の夫婦仲を心配しつつ。

俺は、ルヴィアさんが持ってきてくれた朝刊に、目をやった。
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